今回は、イソトレチノインの内服についてです。

当院では、ロアキュテインという名前のイソトレチノインを使用しています。
使用を開始してから、もうかれこれ5年程経つかと思います。

重症ニキビで悩まれる患者さんは、もうこの薬に頼るしか方法が無いのではないかと思う程、ありとあらゆる治療を体験されていたりします。
抗生剤の外用や内服はもちろんのことケミカルピーリングを受けたり、レーザー治療も試されたりという方も珍しくありません。

実際、抗生剤を何カ月も内服して頂くことは、耐性菌が出現し易くなりますし、ビフィズス菌その他の善玉の腸内細菌叢を破壊してしまう為、正直、体のためには良くないのです。
そういった副作用のことは、医者も患者さんも分かってはいるのですが、他に有効な手立てがない場合はそれに頼るしか方法がありません。

ニキビ治療のガイドライン というものが、皮膚科学会で出されているんですが、
この中に、イソトレチノインという文言は一言も入っておりません。

その理由としましては、この薬剤は厚生労働省の認可が下りてないからです。

日本の先生方はイソトレチノインの存在は良くご存知ですし、効き味の素晴らしさも論文等で確認済みのはずです。
しかしながら、公的病院にお勤めの先生方は特に使用しづらいのだと思います。

今、日本中の皮膚科のみならず病院や診療所で起こっていることに少し触れてみたいと思います。

さて、ずばり日本の医療は、「エビデンスとガイドライン地獄」なのです。
「エビデンス」という言葉は、「治療の根拠」という意味です。
効果がはっきり証明されている薬でないと、使用してはまかりならないということです。

「ガイドライン」は、「標準的治療の道しるべ」というくらいの意味でしょうか。
日本中の医師は、この「エビデンス」と「ガイドライン」という二つの言葉に振り回されている恐れがあります。

その結果、どういうことが現場で起こっているのでしょうか?

患者さんは、時々こんなことを仰います。

「いろんな病院やクリニックを周りましたが、どこも似たような治療ばかりで一向に良くならないんですよ。」

日本の医療は、ものすごく画一化が進んでいるように思えてなりません。
不勉強の私が申し上げるのも憚られるのですが、日本国内の医療は「決められたガイドラインで治療を進めるのが当然であり、それ以外のことはやらなくてもいいし、やっては駄目だ!」という雰囲気さえ漂っているように感じられてなりません。

今回は、何だか偉そうなことを書いてしまいました。

次回は、イソトレチノインの様々な効果と副作用について述べたいと思います。