今回は、治りにくいニキビにイソトレチノイン(ロアキュテイン)の内服が、著効した症例写真です。

この患者さんは、20代後半の女性の方ですが、これまで何件もの皮膚科クリニックにかかられて、その都度、抗生剤やビタミン剤の内服と抗生剤の入った外用クリームの処方を受けて来られた患者さんです。

ニキビが治ってはまた出来てしまうという繰り返しのジレンマに陥っておられましたが、当院でロアキュテイン(イソトレチノインの内服)を開始しました。

通常、20㎎錠を1日1錠からスタートして頂き、唇の乾燥がひどくならない一歩手前で2日に1錠に減量して頂きます。
それでも口唇の乾燥がひどい場合は、3日もしくは4日に一錠に減らして頂きます。

イソトレチインの内服は、基本的には1クール・20週間ですが、これは厳密なものではありません。

20週間以内でも効果が十分なら一旦休薬すればいいですし、20週間を過ぎても尚、効果が不十分な場合は継続して飲み続けてもらっても大丈夫です。

勿論、2カ月に一回の薬害チェックのための血液検査は、欠かせません。
血液検査では、主に胆のう機能・肝機能・腎機能をチェックします。

当院では、1000人以上のニキビの重症患者さんにイソトレチノインの内服を処方しましたが、胆のう機能・肝機能・腎機能に異常を認めた方は、3人程度にとどまっております。

この女性も、定期的にイソトレチノイン内服による副作用チェックを行いながら7カ月が経過しました。
こめかみ辺りに2個ほどニキビが残っていますので、週に1~2錠のペースで内服を継続して頂いています。
抗生剤を飲まなくても、ここまで回復出来ました。

さて、折角ですから、この機会に抗生剤の内服に関して、副作用の点から少し考察してみたいと思います。

抗生剤の内服は、1週間前後のの短期間なら問題となることはあまりないのですが、1ヶ月、2ヶ月、それ以上になりますと、腸内細菌叢(ちょうない・さいきんそう)に悪影響を与えてしまいます。

抗生剤投与による悪影響には、どんなものがあるでしょうか?

①ビフィズス菌等の善玉菌を死滅させ、大腸菌群の悪玉菌が増えてしまいます。
②女性の場合、外陰部とその周囲にカンジダというカビ類が発生して、かゆみを引き起こしたりすることがあります。
③抗生剤に対する耐性ができ、アクネ桿菌等やっつけたい原因菌に効きにくくなってしまいます。

治療前 2013年7月12日
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治療後 2014年2月7日
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次に、腸内の悪玉菌が増えると、身体的にどんな悪影響があるのでしょうか?

Ⅰ 病気にかかりやすくなる。
→免疫力が低下し、風邪などの感染症やアレルギーなどにかかりやすくなります。

Ⅱ 大腸がんのリスクが高まる。
→悪玉菌が優勢だと、発がん成分が活性化しやすく、大腸にポリープやがんができやすい環境になります。

Ⅲ 肌が荒れる。
→体を作る栄養素が吸収されにくくなり、毒素や老廃物の排出が滞ります。毒素は大腸から血液中に吸収され、最終的に皮膚から排出されるため、皮膚はダメージを受けます。

Ⅳ 脳の疲労やうつ状態を招く。
→腸内細菌は、幸福感ややる気などポジティブな感情を起こすセロトニンやドーパミンの体内合成に深く関わっています。腸内環境が悪化すると、これらの物質がうまく合成・分泌できなくなり脳に不足するため、     感情が不安定な状態になったり、 うつ状態になったり、自己否定などネガティブな思考で脳が疲労しやすくなったりします。

Ⅴ 口臭や体臭、便のニオイがきつくなる。
→食物のカスを大腸内の細菌が分解し発酵させることで、便特有の臭気が発生します。排便がスムーズであれば、この臭いが悪化することもありませんが、悪玉菌の多い腸内は、内容物を肛門へと移動させる蠕動(ぜんどう)運動も弱く便秘になりがち。便が腸に停滞する時間が長くなればなるほど腐敗と悪臭の発生は進み、それらが口臭や体臭の原因になることがあります。

ちょっと、恐い内容となっていまいましたが、要するに抗生物質は長期間使わない方が、体のためには良いということです。
アクネ菌をやっつけるために使用している抗生物質が、結果的に腸内細菌叢の悪化を引き起こし、まわりまわって肌荒れを引き起こしたのでは、本末転倒になってしまいます。

抗生物質は、型が合えば短期間ですごく良く効きますので、素晴らしい薬剤と言えます。

①細菌感染で喉が痛くなった場合
②化膿して腕や足が腫れあがった場合
③その他、患部が赤くなって、熱を持って、腫れがある痛みがあったり、膿みを持っているなどの細菌感染がある場合には、
治療する薬剤として、なくてはならない抗生物質ではありますが、いろいろな副作用があるということを念頭におく必要があります。
抗生剤の内服治療は全然効果がなかったという重症ニキビの方には、ロアキュテインはお勧めの治療です。